こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
10年余り教師の仕事をしてきて、夏休みって実はめちゃくちゃ大切な時間なのではないかって思うようになりました。
それこそ今までは漫然と部活して、休んで、何となく仕事して、と日々何となく過ごしていましたが、意識的に過ごすようになってから2学期が一変しました。
気がつくのが遅いよ!と言われそうですが、今日が人生で1番若い日!と思って数年前から夏休みにしておくことをリストアップして取り組んでいます。
夏休みにやっておくこと1「年休を取る」
いきなり年休!?
と思われるかもしれません。でも年休をしっかり取ることがもっとも大切だと思います。
年休という言い方は一般的ではないかもしれません。年休とは年次有給休暇=有給休暇です。
有給休暇は本来、いつでも取りたい時に取れるもののはずです。しかし、やはり私たち教師はなかなか生徒が毎日登校している学期中においそれと休暇を取りづらいものです。
夏休みは長期休暇の中でももっとも時間の取れる期間。だからこそ、仕事とは一切距離を置いてリフレッシュする時間を取らないといけないと思っています。
繁忙期と閑散期という考え方でいいのではないでしょうか。集中して仕事をする期間と休む期間をしっかり分けて、貴重なお休みを取れる期間をゆっくり味わいましょう。
夏休みにやっておくこと2「定期テストを作る」
授業準備より何より、定期テストを作りましょう。
小学校の先生だと単元の確認テストを活用されている方が多いはずなので、この作業はありませんが、小テストなんかが当てはまるかもしれません。
私は数年前から夏休みにその年度の全ての定期考査を作り終えるようにしています。管理職によっては定期テストを起案(=管理職のチェック)に出すように指示を出す方もいます。そういう場合は起案まで終わらせてしまいます。
授業を作る時、まずやることは単元の目標を立てることですよね。
この単元を通して「どんな力を生徒に身につけさせたいか」「どのような生徒に成長してほしいか」と言ったことです。
定期テストはいうなれば
・「その学期を通してどんなことを理解させたいか」
・「その学期中に予想する生徒の成長の姿は何か」
ということそのものです。
企業では経営目標→経営計画→各セクションの具体的な戦略といった形でプランを立てます。
同じように学校では「目標とする生徒の姿」→「単元の計画」→「毎回の授業のプラン」という形でプランを立てます。
定期テストを作るということは、自分の「経営目標を立てる」ということです。
「いやいや、年間指導計画を年度の始めに建てるでしょ!? そこで目標と計画を立てているでしょ!?」
というツッコミが入るかもしれません。
確かに「理想」はその通りです。ただし、年間指導計画を自分で練りに練って毎年作っている先生は少数派です。だったら教科書会社が年間指導計画のサンプルを教員向けにリリースしたりしないはずです。
本当はあってはならないことなのかもしれませんが、大まかに計画を立てておいてその都度生徒の姿にあわせて計画を立て直す、なんてことは現場では日常茶飯です。
偉い先生に言わせるとそれはダメなんでしょうが……我々は偉い先生ではありません。普通の先生です。
ということで、じっくり腰を据えて計画を立てるために時間を取れるのは、夏休みです。1学期を死に物狂いで走り抜けてきた教師にとって、夏休みはほっと息抜きできる期間ですが……息抜きしすぎるとまた2学期から死に物狂いです。
2学期以降、心安らかに過ごすために、夏休み中にすべての定期テストを作り終えて、起案まで出してしまいましょう。その後に微調整が生じたら、都度作り変えればいいのです。
夏休みにやっておくこと3「授業案をまとめて作る」
定期テストを作り終えたら、次は当然授業の準備です。
授業で使う小テスト、プリント、などなど、授業の準備をくまなく終えてしまいましょう。できれば印刷まで。
定期テストを作成するのに結構な時間を要するので、私はとりあえず2学期の授業が作れればOKとしています。3学期は冬休みに作ればいいのです。
世の中の社会人は「価値提供」によって対価となる報酬をもらっています。
私たちが最も「価値提供」しなければいけないのは「授業」です。生活指導でも部活動でも分掌の仕事でもなく「授業」です。
しかし、生徒が来る平日にじっくり腰を据えて授業準備をすることができないのもまた事実です。満タンに入っている授業、日々の生活指導や生徒指導に勤務時間のほとんどを費やすからです。
1学期を死に物狂いで過ごしたのならば、そして何とか乗り切ったのならば、夏休み中に授業の準備をしておけば、「価値提供する準備」を終えておけば、その他の付加価値(主に生徒指導ですね)を高めることにも力を注ぎやすくなります。
ちなみに、ベテランの先生にありがちな「蓄積してきた今までの経験」をそのまま授業で再現することはお勧めできません。
目の前の生徒は「数年前のあの子たち」とは全く別の人間です。全く同じものが当てはまることなんてありません。
自戒も込めて言うと、だんだんと手を抜きがちになる授業ですが、本来は「目の前の生徒にいかに高い価値を提供するか」というところで私たちは勝負しなければならないはずです。
だから、「授業には手を抜かない」という姿勢をいつまでも持ち続けることが私たち教師には必要なのではないでしょうか。
現実的に日々の業務に追われて授業改善に取り組む時間を取れない。
ならば、夏休みというゆとりのある期間に腰を据えて授業改善に取り組めばいいのです。私たち教師の本懐ですから、ここにしっかり時間を取りましょう。
夏休みにやっておくこと4「分掌の提案文書を作成する」
夏休み中に文章の提案文書はなるべく先の先まで作っておきましょう。
教員の世界のいいところでもあり、悪いところでもありますが「前年踏襲」という文化があります。要するに「去年は〇〇でしたから、今年も〇〇で」という文化です。
「見直す」ということは、いろいろな考えのあるすべての先生に確認を取らなければならないということです。全ての行事を徹底的に見直して、改善できればそれはそれで理想的なのですが、残念ながら様々な世代がいて、ある意味「お役所的」な人もたくさんいる現場では先進的すぎる意見は却下されがちです。
本当はそれではいけません。だから、若手や実力のある中堅はどんどん変革を仕掛けていく必要があると思っています。
ただし、実際の問題として、すべてを見直すのは不可能です。自分のコントロールできる範囲のものを変えていくことぐらいしかできません。
教務主任や生活指導主任など「主任」をやっているとある程度強引に変えることもできますが、一般の教員にはそこまでの力はありません。
だから、「前年踏襲でも問題ないよね?」という程度のものは見通しをもって提案文書を作り終えておくことをお勧めします。
ちなみに、私がお勧めするのは「去年の文書をそのまま日付だけ変える」という最悪の仕事法ではありません。
「読めばわかる文書」「職員会議がなくても自分が何をすればいいかすべての人が分かる提案文書」にブラッシュアップして作り変えることです。
今まで何校か異動を繰り返して分かったことは教員は圧倒的に「読んでわかる文書」を作る能力、残しておく能力が低い、ということです。
とりあえず去年のものを日付だけ直して……という先生の多いこと多いこと。
ただし、愚痴を言っても始まりませんから、自分のコントロール可能な部分、すなわち、「任された仕事」ではその悪習を断ち切ることが大切です。
きっと若い先生や中堅の先生は「この文書よくわからんな」と感じるアンテナが高いはずです。あなたにとってわかりづらい文書は、他の人にとってもわかりづらい文書です。
であれば、自分で疑問に思ったことをすべて解決するような文書を作ればいいのです。もちろん、一人で作ってもすべての疑問を解決できているかはわかりませんから、作ったら必ず同僚の先生に見てもらうのが大切です。
例えば大掃除を実施するにしても
・いつまでにどんな道具を準備しておけばよいのか
・どの清掃場所に何人ぐらい生徒を割り当てるのか
・いつまでに割り当てを決めればいいのか
といった事前の準備から
・当日は何時から何時まで大掃除を実施するのか
・道具はいつどこに誰がとりに行けばいいのか
・何時になったら生徒を帰していいのか
・道具の返却はいつどこに誰が返しに行くのか
という当日の動きなどなど、細かく決めておくことはたくさんあります。
そして、大事なのは当日その提案文書を見返せばだれもが自分の動きを把握することができる、ということです。
初めからすべてを網羅して文書を作ることは不可能ですから、何度も経験して作り直してを繰り返して分かりやすい文書を数年かけて蓄積する、というくらいの心持でいいと思います。
そうやって「読めばわかる文書」を蓄積していけば結果としてその学校に勤務する先生が豊かになり、自分自身の仕事の蓄積も増えていきます。
まとめ
公立中学校の先生が夏休みにすべきこと
①年休を取る
②定期テストを作る
③授業準備をする
④分掌の提案文書を作る
それぞれ突き詰めていくとものすごく時間がかかることです。しかし、あまり気負わず、まずはリフレッシュすることを優先してもいいのではないかと思います。
ちなみに今年の私は、8月8日から21日まで14連休にしました。夏季休暇(いわゆる夏休み)を5日間、年休を3日間、土日を挟んで14連休です。
すげー!先生ってそんなに休みを取れるんか!?
と思うかもしれませんが、世の中で夏休みやお盆休みをしっかりとれるのは教員以外でも意外とあります。
逆に、教員はこの時期くらいしか有休をとれないということの裏返しでもあります。
・大手を振ってリフレッシュ休暇を取る。
・仕事するときは集中して生産性高く仕事をする。
・後で役に立つ仕事をする。
教師の夏休みの過ごし方の鉄則です。
まだ夏休みが1週間ある人もいますから、最後の1週間で2学期を心安らかに過ごせるように仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。