ゆう先生の教師の教室

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Collaboration 21世紀型教育「協働・協同」の学習とは

 

こんにちは。ゆう先生です。

中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。

 

前回、Microsoft Educatorの認定を取るときに勉強した「21世紀型教育」について書きました。

you1990.hatenablog.com

 

Microsoft Educatorについてはこちら

you1990.hatenablog.com

 

今回は21世紀型教育を形作る6つの要素の一つ

「Collaboration 協働・協同」について、解説していきます。

 

この記事を読んで分かること
・世界が考える「協働・協同」とはどんな形なのかが分かる
・学習指導要領の「対話的な学習」を実践するヒントになる

私が読んだテキストはこちら

 

コラボレーション達成の4ステップ

(出展:21CLD Learning Activity Rubrics 小柳和喜雄研究室 日本マイクロソフト

 

いきなり結論です。

 

①ペア・小グループで活動していること

②責任を共有していること

③実質的な意思決定をしていること

④相互依存的(互恵的)であること

 

これらが達成されているほど、より高度なコラボレーションが授業で起こっていると判断されます。

 

 

①ペア・小グループで活動している

授業の中で

「どのような課題を探求しようか話し合う」

「発見した問題を解決する活動を行う」

「成果物や創作物など、何かを作り出す」

こういった活動を行うことがまず大前提です。

 

そのときに生徒が

「単独で活動するのではなく、ペア・小グループで活動する」

というのが達成されているのが「協働・協同」の始めのハードルです。

 

面白いのは「クラスで取り組むこと」とか「教師にフィードバックをもらうこと」が該当しないということです。

 

よく「7人以上の会議は必要ない」というような話をビジネス界隈で聞くことがあります。

参加者が7人以上になると、発言しない人がいるので生産性が向上しない。だからやらない。

こういった感じですね。

授業でも、クラス全体で検討していると、発言しない、参加しないといった姿勢の生徒が現れます。

個人的には発言するのが苦手なだけで自分の頭の中で試行している生徒もいるんじゃないのかな

なんて思うこともあるのですが、

発言しない=参加しない=思考していないも同然という考えが根本にある気がします。

クラスや生徒の成熟度に大きく左右されそうですが、

「少人数で誰もサボる人がいない」

「発言しないということは思考していないということと同義」

こういった雰囲気がクラスの中でできあがってくると、より効果的にペア学習や小グループ学習が成功しやすくなると思います。

 

 

②責任を共有している

ペアや小グループで活動しているときにはお互いを単に支援しあう程度の活動ではダメです。

スピーチやプレゼンテーションを行う単元で、お互いのスピーチを見合ってフィードバックを送り合う。

よく私も授業で取り入れる活動ですが、これではダメだということです。

 

どうすれば「責任を共有している」活動になるのか。

お互いのスピーチやプレゼンテーションを見合ってフィードバックを送る。

このとき、スピーチやプレゼンテーションを一緒に作り上げる活動で、

お互いにきちんとフィードバックを送り合わないと完成度が高まらない。

こういった場合に「責任を共有している」状態になります。

 

グループ活動で共通のものを何か作り上げる

または発表活動を行う

そういった場合が「責任を共有している」状態だと言えそうです。

 

作文を書くとか論文を書くとかいうような個人の考えを表現する活動ではやや制限されそうな感じです。

 

 

③実質的な意思決定をしている

内容、過程、産物の3つの観点で意思決定にかかわっているかどうか、というポイントです。

・どんな内容にするか

・どのようなものを使って、どのように取り組んでいくか

・どのようなものを作り上げるか

こういったことを決めるときにグループの全員でかかわりましょう。

そんな感じですね。

 

「外国人観光客向けに日本の伝統を体験できるような旅行プランを作ってプレゼンテーションをしよう」

こんな課題を提示してグループワークをさせたとして、

・どんな体験が「日本の伝統」にあたるかな

・どんなアプリを使って、どんな形でプレゼンテーションをしようかな

・どんなデザインでプレゼンテーションを作ろうかな

・どの順番でどんな雰囲気でプレゼンテーションをしようかな

こんなことを考えさせる活動のときにあてはまりそうです。

 

グループ活動をさせるときは、お互いに話し合ってまとめていくことを指示しますから、これは普段の授業で大いに当てはまる場面がありそうです。

 

 

④相互依存的(互恵的)である

簡単に言えば「お互いの活動が、お互いの利益になる」状態を作り出しましょう。

こういうことですね。

 

・各自で作ったパーツを最後に組み合わせるだけ

 

これではお互いの利益になっていません。

 

・各自で作ったパーツをお互いにフィードバックしながら完成度を高めて、さらに最後に組み合わせた後もう一度話し合って完成度を高める

 

こんな感じです。

 

先ほど例に出した

「外国人観光客向けに日本の伝統を体験できるような旅行プランを作ってプレゼンテーションをしよう」

という課題ならば、

 

・お互いに任された部分の台本とPowerPointのスライドを作る

・最後にそれを合体して発表する

 

これだけでは不十分ということですね。

 

・台本とPowerPointのスライドを作る(その過程でも完成度を高めるためにフィードバックしあう)
・最後につなぎ合わせた後、グループで練習して見直してさらに修正を加えて完成させる。

 

こういった活動を挟まなければ、相互依存的(互恵的)な活動とは言えません。

 

言葉にするだけなら簡単そうですし、大人の世界だと当たり前のようにやっていることですが、

授業で達成させようとすると、膨大な時間と生徒それぞれの高いスキル、高い意欲が重ならないと難しいですね。

難しいからこそ達成させるための1年間の計画や3か年計画が大事になってくるわけですが、

中学1年生からじっくり面倒を見て、3年生のときにうまく達成させる。

そんな感じの見通しぐらいに思っておけばいいでしょうね。

 

「対話的な学び」と絡めて考えよう

21世紀型教育の6つの要素のひとつめ、「Collaboration」について解説しました。

このテキストは「発達段階ごとに細かく分けたテキスト」ではないので、

発達段階ごとに分かれている学習指導要領と絡めて考えるのがよさそうです。

 

テキストに載っていたルーブリック

これのコード5、最後の形、最も完成度の高い形を目指すのは、

私たちの場合、中学3年生で良いのではないかと思います。

 

中学1年生、2年生の間はひたすらその種をまき続けて、

完成度の高いコード5を達成するために準備を重ねていく。

 

こんなイメージではないでしょうか。

 

日本の学習指導要領も理想とする地点は同じようなところなのですが、

ルーブリックでわかりやすく明示されていると目指す地点がはっきりして

授業の案を考えるのも格段に楽になる

 

そんな感想でした。

次回は6つの要素のふたつめについて解説していきたいと思います。

you1990.hatenablog.com

 

 

最後まで読んでくれてありがとうございました!

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