こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
Microsoft Educatorの認定を取るときに勉強した「21世紀型教育」について連載記事にしています。
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これまでの記事
・「主体的に学ぶ」を達成するためのヒント!
自律的な学習を達成する3ステップ
(出展:21CLD Learning Activity Rubrics 小柳和喜雄研究室 日本マイクロソフト)
またもや結論から。
①長期間の活動で目標と評価基準がはっきりしていること
②自分たちで活動を計画していること
③フィードバックに基づき、成果物を見直す時間を設定してあること
この3つを達成する授業計画ならば「自律的な学習」と言えそうです。
主体的に学習に取り組む態度?
現在の学習指導要領では「主体的に学習に取り組む態度、人間性等」という評価の観点があります。
世に出たときには
「人間性ってなに?どうやって評価するの?」
「主体的に学習に取り組むって何をもって判断するの?」
「教師のえこひいき正当化ツールがまた増えたな(笑)」
こんな感じにネガティブな意見がたくさん吹き出ました。
様々な資料が文科省などから出され、現在「教師」の仕事をしている方は誤った認識をされている方は少ないかと思いますが
「知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価すること」
(出典:児童生徒の学習評価の在り方について(報告) 文部科学省)
ということで、さまざまな評価資料を基に意思的な側面を評価しましょうね
こういうことになっていますね。
「人間性」という言葉に惑わされないでね?って文科省が火消しに回ってるんじゃ?
とか
そもそも「意思」ってどうやって評価するんだ?
といった根本的な疑問は確かにありますが、それについてはまた別の機会に(^^;
ものすごくわかりやすく言えば
「課題に取り組むときに、自分なりに計画を立てて、自分に合った方法で学習に取り組んでいるかどうか」
これからはこういった側面を重視しましょうね
ということだと思います。
自律的な学習=主体的に学習に取り組む態度
「新たな言葉を使わないといけない」といったお役所的な都合は置いといて、
21世紀型学習の「自律的な学習」は
主体的に学習に取り組む態度にそのまま当てはめることができると思います。
ある程度の長期間にわたる学習活動を行い、
学習の目標も、評価の基準も知っていて、
自分たちで進め方を計画し、使う道具を選択し、
完成度の高い状態にできるまでブラッシュアップし続ける。
ね? 要約するとそのままですよね?
ということで早速「自律的な学習」について解説していきます。
①長期間の活動で、目標と評価基準が与えられている
学校の授業1時間でできることってものすごく限られていますよね。
だから、「授業1時間」という単位ではなくて、数日とか数週間とか、ある程度の長期間、その学習に取り組んでいること
これが大切になってくるというわけです。
その日の天気図からわかることを学習する
のではなく、
数日分の天気図の連続的な動きから、気象について学習する
これが「ある程度長期間」の実態です。
そして、その学習には目標があるか、評価基準は明確か
これも自律的な学習のためにとても大切です。
何を学習すればいいのか、何を表現すればいいのか、何が分かればいいのか
目標のない学習はただの時間つぶしです。
そして評価基準。
私たち教師はつい評価基準を伝えないまま授業に取り組むことが多いですが、
明確な評価基準がなければ、何をどのくらい頑張ればいいのかわかりません。
年齢が上がって発達段階が上がってくれば、どのくらいまで頑張ればいいか、
評価基準を自分で決めることもできると思いますが、
中学生くらいでは、なかなかすべてのことを考えさせるのは難しいです。
だから、教師が明確にする必要があると思います。
後だしで評価基準を出すなんてもってのほかです。
そんなの「後だしじゃんけん」だから子供たちはずるいって感じますよね?
②自分たちでその活動を計画しているか
ある程度の長期間の学習活動で、目標と評価基準が明確な単元を作ったら、
次は「活動を自分たちで計画させる」ことが大切です。
「計画」とは具体的に次の通り
・方法 どんな方法で調べたり、作り上げたりするか、方法を決定する。
・いつするか 活動のスケジュールを決める。
・分担 グループの中で誰がどの活動を分担するか、役割を決める。
・どこでするか 学校の中で行うか、外で行うか、平日にするか休日にするか決める。
全くそのまんま大学のゼミでの活動ですね。
中学校の授業に落とし込むのは難しそうです(^^;
ただ0か100かで考えずにバランスよく取り入れようとすると
「方法」と「分担」は授業でも子供たちに自由に決めさせてよさそうです。
また、ある程度長期の課題であれば「スケジュール」も自由でいいかもしれませんね。
スピーチをさせる単元で
実物をもってきてスピーチをするか
写真を使ってスピーチをするか
プレゼンテーションソフトを使ってスピーチをするか
どんな方法でもスピーチはできますからね。
子供たちが自由に選ぶなんてのは比較的簡単に導入できそうです。
③フィードバックに基づき活動を修正できるか
グループで活動に取り組む最中にお互いにフィードバックを送り合い、
活動をよりよいものに修正する機会があるかどうか
これが最後のステップです。
ぶっつけ本番で発表とか提出になっていませんか?ということですね。
これについてはたくさん言及する必要はなさそうです。
自分たちで練習したり見せ合ったりする活動を通して、
より良い状態にブラッシュアップさせてから、発表させたり提出させたりしましょう。
ということですね。
おそらく先生たちのほとんどが「ブラッシュアップする時間」を設けているはずです。
ちなみに「先生に聞いて直す」はここでは意味のない活動です。
「お互いにフィードバックしあって、活動を修正する」
というのが「自律的」の中で一番大切な部分です。
「主体的に学習に取り組む態度」とほぼ一緒!
21世紀型教育の6つの要素の3つめ、「Self-regulation」について解説しました。
ずっと書いてきていますが、このテキストは「発達段階ごとに細かく分けたテキスト」ではないので、
やはり発達段階ごとに分かれている学習指導要領と絡めて考えるのがよさそうです。
これは大学での活動など、より高度なことができる学生を教えている機関向けのテキストなんだろうなと思います。
テキストに載っていたルーブリック
「自律的な学習」は中学校でもコード4を達成できそうです。
ただし、「学習を計画する」部分については学校の事情に合わせて柔軟に応用させる必要があります。
「主体的に学習に取り組む態度」を育てるために具体的にどんなことをすればいいか
ルーブリックでわかりやすく明示されていると目指す地点がはっきりして
授業の案を考えるのも格段に楽になる
毎回書いていますが、こういったテキストは日本のお役所が作るものよりはるかに視覚的でわかりやすく実用的ですね。
次回は6つの要素の4つめについて解説していきたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
みんなで楽しく先生をやろう!