こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
Microsoft Educatorの認定を取るときに勉強した「21世紀型教育」について連載記事にしています。
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これまでの記事
・勉強しようという意欲を高めるアイデアが浮かぶ
現実社会の問題解決と革新的な取り組み 達成する3ステップ
(出展:21CLD Learning Activity Rubrics 小柳和喜雄研究室 日本マイクロソフト)
おなじみ、結論から。
①問題解決が学習活動の条件であること
②現実社会の問題解決であること
③革新的な取り組みであること
この3つを達成する授業計画が「現実社会の問題解決と革新的な取り組み」です。
①問題解決型授業とは
文科省が進める「アクティブラーニング」
学習指導要領では「主体的で対話的で深い学び」という言葉になっています。
正解や解答が決まっている課題に取り組むのではなく、
正解のない課題に取り組むことで問題解決へのアプローチ方法を学ぶ
というものです。
21世紀型教育の根本にある
「試験で良い点を取れる生徒」
ではなく
「問題を発見してそれを解決することができる、問題を解決するときに知識を活用することができる人材」
を育てよう
という目標を達成するための要素であると言えます。
問題解決は
・自分たちの取り組みを進めるために、問題の要因を調査すること
・考えや選択肢を生み出すこと
・解決方法を考案したり、適切な解決方法をいくつか探求すること
・首尾一貫した解決策をデザインすること
・解決策を分析し、解決のために最良になるように改良すること
の5つをすべて、またはいくつか満たすことで達成されます。
国語の授業でいえば
「文章を読んで○○の場面の人物の心情を読み取って答えなさい」
というのは当然ながら問題解決ではありません。
「(出来事や人物の心情を読み取ったうえで)主人公以外の視点からお話をリライトしましょう」
これなら、適切な方法を探す必要があるので、問題解決です。
「論説文を読んで、―線の部分はどういうことか選択肢から選びなさい」
これは、読んで理解したことの確認であって、問題解決ではありません。
「論説文を読んで、筆者の主張はどういうことか、自分の言葉で要約しましょう」
これなら、より分かりやすい状態にするために改良しなければいけないので問題解決です。
こんな感じで、問題解決型授業は「試験の問題を解く」ではない形の問題を解決させるということで達成できます。
アイデアをまとめてみると、おそらくほとんどの先生が問題解決型授業に取り組んでいるのではないかと思えてきますね。
②現実社会の問題解決になっているか
・実在の人々の経験から得られた問題か
・教師以外の具体的な誰かの問題を解決するためのものか
・具体的ではっきりした状況がわかるか
・実際のデータを用いているか
これ、自分が子どものころからずっと持っている学校の授業への疑問です。
「これさあ、勉強したところで生きていくのに必要ないじゃん。何のために勉強すんの?」
誰もが一度は抱いたことがある学校の勉強への疑問です。
実際私も教師になってから「勉強する意味ないじゃん」を解消できるような授業に取り組んできたつもりです。
でもなかなか難しかったんですよね。
でも、このルーブリックを学習して、学習指導要領とつなぎ合わせて、
「あ、自分の考えてきたことってあながち間違いじゃなかったんだな」
と思っています。
例えば、枕草子を学習して「自分流枕草子を作ろう」という課題を出すことがあります。
「自分流枕草子」を作らせるのって、中学校の国語の先生ではあるあるだと思うんですが、
その時に「枕草子を読んだことがない人に、自分たちが学習した枕草子の価値観が分かるように作ろうね」
具体的には伝える相手を「中学1年生」とか「小学校6年生」という風に設定しちゃいます。
1000年以上前の人の価値観って結構伝わりづらいですが、読み取りを丁寧に行って音読を丁寧に行って、
独特のリズム感を再現しながら、価値観が伝わるように作ろうねってアドバイスして、
1週間とか2週間とか期間を設定して作らせると、結構すごいのが出来上がってきます。
「ただ古語を勉強するだけじゃなくて、自分で調べながら自分流枕草子を作ると、枕草子への理解も深まった」
こんな振り返りがたくさん出てきます。
定量的に枕草子の理解度を図るテストとかがないので、数値化できないのが本当に残念なんですが……
数値化できたら、生徒たちの理解度が高まっている可能性、高いと思います。
実在する「清少納言」のテキストという「データ」を利用して、
「読んだことがない人に枕草子の価値観を伝える」という具体的な状況を与えて、
「中学校1年生」とか「小学6年生」という具体的な人々のための解決策を考える。
こんな風にすべての単元で現実社会の問題解決につながる授業デザインを作りましょう。
③革新的な取り組みになっているか
めちゃくちゃプレッシャーになる項目ですね。
革新的って……何をどうしたら革新的な取り組みなんだ?
って身構えます。私も身構えました(笑)
ということでまずは、テキストからそのまま引用しますね。
・革新的な取組は、現実世界の実践の中に生徒のアイデアや解決策を置くことを求める。
・生徒たちが自分たちの考えを実行する権限をもっていない場所での取組の場合は、自分たちの考えを、それらを実行することのできる教室の外の人々に伝える場合のみ、革新的な取り組みと言える。
つまり、教室内で、授業の中だけで勝手にやっているのではなくて、
教室の外、現実の社会にどんどん発信していきましょう!
ということです。
アクティブラーニングの「実践体験型学習」をどんどん取り入れましょうね!
ってことですね。
国語の学習ならば、意見文や作文を書く際に、
実際にコンクールに応募してみるとか、新聞の投書欄に投稿してみるなどが当てはまりそうです。
また、文章を読んで自分の考えをまとめて、実際に学校行事で発表する、なんてのも一つの発信です。
最近では区市町村のホームページに「○○長へのご意見フォーム」なんてものを設置してある場合がほとんどですから、
実際に生徒の意見をそのフォームを使って投稿させる、なんてのも面白そうです。
※ただし、事前にこういう取り組みをやります!って報告してから実施したほうがいいです!新聞の投書を投稿して、生徒の自宅に新聞社から連絡が入り、「何事かと思いました!」とお叱りの電話をいただいたことがありますから(笑)
子供たちの取り組みを現実社会にどんどん発信せよ!
教師になってから十数年。教師になる前数十年。
ずっとずっと疑問に思っていたことのひとつ。
「これってさあ、勉強したところで、何か意味あんの?」
偉い先生や教育の実践の世界で著名な先生には怒られそうです(笑)
でも私、偉い先生じゃありませんから全く問題ありません。
子供たちがどんな形で学習と自分たちの生活を結び付けて、
「これって勉強してめっちゃ意味あった!」と実感する
これが私の求める授業だからです。
そういう意味で、21世紀型教育の6つの要素の4つめ、「現実社会の問題解決と革新的な取り組み」を勉強して、
改めて「アクティブラーニング」とはなんだったかを振り返ることもでき、
とてもとても有益な勉強になりました。
中学校でもできる範囲で、現実の社会と教室をどんどんリンクしていきたいと思います。
ということでルーブリックのおさらいです。
次回は6つの要素の5つめについて解説していきたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
みんなで楽しく先生をやろう!