こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
Microsoft Educatorの認定を取るときに勉強した「21世紀型教育」について連載記事にしています。
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これまでの記事
現実社会の問題解決と革新的な取り組み 達成する4ステップ
(出展:21CLD Learning Activity Rubrics 小柳和喜雄研究室 日本マイクロソフト)
さて、今回も結論から。
①生徒がICTを活用していること
②ICT活用が知識構築をサポートしているか
③知識構築にICTが必要不可欠か
④生徒がICT作品の創案者、設計者か
この4つが、ICTを活用して授業をしていることの条件です。
①生徒がICTを活用しているか
新型コロナウイルス感染症の蔓延を機に一気に広がったGIGAスクール構想。
どこの学校でもすでに「生徒1人に1台のパソコン」が配布されました。
※自治体によってはiPadのようなタブレットだったり、2in1のタブレットPCだったり様々ですね。
第1の条件は「配布されているタブレットPCを生徒が活用しているか」
というところです。
「先生が電子黒板で授業を行う」というのはICTの活用には当てはまりません。
「え~!?やっと電子黒板にも慣れてきたのに~!?」
という先生方の阿鼻叫喚が聞こえてきそうですが、
残念ながら私はこの考え方に100%賛成です。
この記事でも書いた通り、意外とICTを授業で生徒に活用させるのは簡単ですし、
何より自分の仕事の時間を最高に減らせますので、
世の中の全ての先生方は今すぐICTを自分の授業で活用しましょう。
とりあえず、明日の授業から、
「課題を生徒にドキュメントで配布し、データの形で回収する」
だけでもICTを立派に活用していると言えます。
なんてったって学校予算を食いつぶす一番の大敵
「紙」
を大幅に削減できるんですから。
②ICT活用が知識構築をサポートしているか
とりあえず生徒にICTを使わせることが始められたら次のステップです。
・インターネットを使って調べ物をする
・課題に取り組んでデータで提出する
などなど、これらは知識構築のためにICTを使っているとは言えません。
※知識構築って?という人は過去の記事を見てください。
「解釈、分析、統合、評価」の4つの活動など、知識構築のためにICTを使わせましょう。
例えば、先ほど挙げた「作文をWordで書こう」というのは、
自分の知っていることを自分の意見という形でまとめ直すという知識構築の作業のために、
編集が簡単ですぐ改良できるWordというICTアプリを用いています。
ということで、知識構築のためにICTを活用している活動です。
それ以外にも
「自分流枕草子を作ろう」という課題で「自分流枕草子をOneNoteでつくる」
とか、
「環境問題について調べて、意見を発表する」という課題で「PowerPointを発表に使う」
なんていうのも「知識構築のためにICTを活用している」活動と言えそうです。
「ンなこと言ってもさア~、ICTを活用させるのってどうやればいいか難しいんだけど?」
という阿鼻叫喚が聞こえてきそうです。
ヒントは「私たちはどんな時にパソコンを使って作業をしますか?」という視点だと思っています。
生徒にわかりやすく授業をしようと思ってPowerPointを使う
→生徒もわかりやすくプレゼンテーションをするならPowerPointを使うなあ
Wordで資料や家庭へのお手紙(学年通信や学級通信)を作る
→提案書や企画書をWordで作らせよう。作品をWordで作らせよう
こんな感じです。
ちなみに私は「Webサイトを作らせよう」とか「ブログを作らせよう」みたいな
インターネットに実際に公開できるものを今後、生徒に作らせようと思っています。
③知識構築にICTが必要不可欠か
「調べ学習をして、いくつかのデータを統合して考えられることをまとめましょう!」
こんな課題を出して、図書館で調べ学習をする。
しかし、図書館で調べ学習をすると、在籍する生徒の数だけ資料があるとは限らないし、
本のデータってどんどん古くなるので、最新のデータが見つかるとは限らない。
そこで、調べ学習に図書館とインターネットを両方活用した。
これで、それなりに正確な情報を担保しながら、最新のデータにアクセスできるようになった。
今までの学校では「図書館での調べ学習」は、よくある姿でした。。
そこにインターネットでの調べ学習を組み合わせました。
最新のデータにアクセスさせるためにはインターネットでの調べ学習が絶対必要ですからね。
こんな形での授業が「ICTが必要不可欠な授業」です
3つめが「ICTが必要不可欠かどうか」という観点です。
調べ学習のほかにも
・取材活動のためにメールやチャットを使って相手と連絡を取り合う
・直接観察できないものをコンピューター上のシミュレーションで観察する
なんていうのもICTがなければ絶対に観察できないものです。
ちなみに「ビデオを見る」程度の活動はICTの活用とは言えません。
あくまでも「ビデオをみて、観察し、分かったことをまとめる」といった
「分析」の活動が伴って初めて「ICTの活用」と言えます。
④生徒がICT作品の創案者、設計者か
創案者? 設計者? なんのこっちゃ??
・他の人が使えるICT(デジタル)作品を創ったとき、生徒は創案・設計者となる
デジタルで、「他の人が使える作品」を創りましょうってところがミソですね。
例えば、作文を書いてデータで提出すると、私たち教師はそれを
・印刷して展示する
・例として他の授業で見せる
・コメントを入れて返却する
みたいに活用することができます。
こんな感じで「他の人が使える形でデジタル作品を創る」活動をどんどん取り入れましょう。
例えば昔「TikTokkerになろう!」というテーマで、
1分以内のショート動画で、自分の好きな物事をちょっと知ってもらえたり、
学びがあったりする動画を作りましょう
という授業をしたことがあります。
ビデオを作るということであれば、間違いなくICT機器を活用しますし、
学校行事で動画の展示という形で活用しました。
実際に学校のホームページ上で発表したりもしました。
こんなふうにICTを使って、オリジナルの作品を創らせる、
そして、その作品を他の人が活用できる
こんな風にICTを活用していくのがいいのではないかと思います。
デジタルの消費者から、価値提供者へ
iPhoneが世界中に「スマートフォン」というものを定着させてから十数年。
テクノロジーが私たちの生活をどんどん便利に、どんどん楽しく、どんどん多様に変えてきました。
そして、教師になってから十数年。最近思うのは「人々がデジタルの消費者」になっているのではないか?ということです。
自分がどのように価値提供をするか
ではなく
どんな楽しいものがあるか、相手にどんなことをしてもらえるか
こういったことにだけ注目している人がとても多くなっていないか?ということです。
かくいう私もその1人です。
そして、そんな自分から脱却したくて今、ブログを書くという形で「価値提供する側」に少しでも近づこうとしています。
これから先、子どもたちはめまぐるしいスピードで変化していく社会を生きていかなければなりません。
そんなとき、最後まで自分らしく、豊かに生きていくために必要な価値観
その1つが「自分はどんな価値提供ができるか」「自分の能力をどんなふうに世の中に役立てるか」
こういった「他者貢献」の意識があるかどうかだと思っています。
ICTを生徒に活用させ「他の人が活用できる作品を創り出す」活動を繰り返すこと
これが「テクノロジーの消費者」から「価値提供をする側」へ転換する
第一歩なのではないでしょうか。
中学校でもできる範囲で、どんどんICTを使わなければならない状況、ICTの作品作りを加速させていきたいですね。
ということでルーブリックのおさらいです。
いよいよ次回は6つの要素の最後です。
少しでも明日の授業づくりのヒントになれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
みんなで楽しく先生をやろう!