こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
Microsoft Educatorの認定を取るときに勉強した「21世紀型教育」について連載記事にしています。
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これまでの記事
・「コミュニケーション」のある授業づくりのヒントが分かる
目次
- 現実社会の問題解決と革新的な取り組み 達成する3ステップ
- コミュニケーションとは
- ①拡張的で多様なコミュニケーション
- ②根拠となる証拠の提出を求められているか
- ③特定の対象に向けてコミュニケーションすることを求められているか
- 「深い学び」達成のために不可欠な「コミュニケーション」
現実社会の問題解決と革新的な取り組み 達成する3ステップ
(出展:21CLD Learning Activity Rubrics 小柳和喜雄研究室 日本マイクロソフト)
最後ももちろん結論から。
①拡張的で多様なコミュニケーションを求められているか
②根拠となる証拠を求められているか
③特定の対象に向けてコミュニケーションすることを求められているか
この3つが、熟達したコミュニケーションの条件です。
コミュニケーションとは
解説する前にこのテキストでいう「コミュニケーション」とは何か、押さえましょう。
「コミュニケーション」は伝達、通信、意思疎通という意味ですが、
多くの日本人は「話し合い」だと思っています。
このテキストでのコミュニケーションは「伝達」「意思を伝えあう」
誤解がないように最初に押さえておきましょう。
テキストには「多様なコミュニケーション」という言葉が出てきます。
「コミュニケーション」の意味を誤解したままだと
ん?話し合いの方法についてかな?
ん?オンライン会議ツールを使って話し合いをするってことかな?
こんな感じで受け止めてしまいます。
多様なコミュニケーションは「いろいろな方法で自分の意思を伝えること」です。
例えば作文かもしれないし、ビデオかもしれないし、スピーチかもしれないです。
こんなふうに、自分の意思を伝える、伝え合う方法が多様である
これが「多様なコミュニケーション」です。
なるべく誤解しないように書いていきますが、皆さんも初めに押さえておいてください。
①拡張的で多様なコミュニケーション
コミュニケーションの方法はこの数十年でがらりと変わりました。
対面のミーティングか、電話かメールか、と言ったものしかなかったものが
・zoom
などなど、双方向のものから一方通行のものまで多種多様になりました。
「拡張的で多様なコミュニケーション」では「単純な自分の考え」は求められていません。
ある程度の長さ、段落が複数あるような文章になるような自分の考えを
様々な形で表現させることが必要です。
国語の授業であれば「ニュース記事を選んで自分の考えをまとめて書く」という課題では、
・「投書」という形で400字程度にまとめさせる
・低学年の生徒に教えるという形でわかりやすい表現のスピーチ台本でまとめさせる
・記者へのレスポンスという形で手紙の形式でまとめさせる
・Webの記事として文字数制限なしで、表現でまとめさせる
などなど、毎回異なる形式で課題に取り組ませると良いと思います。
さらに、「生徒が自分で最適な形を選択できるようにする」というのも重要です。
自分の意見を伝達するためにはどんな形式が最適か、
「自分の意見を自分より低学年の生徒に伝えよう」
というお題だけを提示し、「伝え方は自由」みたいな課題設定をすると、
生徒それぞれで柔軟に考えて自分の意見を伝達する方法を考え始めるでしょう。
ちなみに私は「作文を書きましょう」とか「スピーチをしましょう」といった
「伝え方」まで指定した授業しかしたことがありません(笑)
本当の意味で「問題解決型」の授業を提案するのであれば、
「解決方法は自分で考えてやるべし!」という授業も面白いかもしれません。
②根拠となる証拠の提出を求められているか
実は、これが最も大切だと思っています!
授業で生徒に考えを書かせるときに必ず「根拠」を示させることです。
国語の先生であれば必ず実践されている基本中の基本です。
「根拠」とは「自分の考えを支える事実」もしくは「数値化されたデータ」です。
「根拠」の信頼性は
1人が知っていることや1人の経験<みんなが知っていること、複数の事実
ということで決まります。
・よりたくさんのことにあてはまること
・よりたくさんのデータがあること
これらが何より大切です。
そんなことわかってるよ~
というなかれ。世の中の意見って「なんとなくの思い込み」とか
「たった1人の経験談」を根拠にしていることが多いんです。
ドキュメンタリーならいいんですが、それをもとに「一般化」してはいけないこともあります。
中学生の課題だから「そこまで求めなくてもいいのかな」と思うことはありますが。
そんなわけで、「根拠が明確に」なっている意見、
または「より信頼性の高い根拠を用いた」意見、
こういうことを意識させていきたいわけです。
海外では、国語以外の様々な授業で、「信頼性の高い根拠」をもとに
自分の意見を伝達しようということを日本以上に重要視しているんですね。
国語科として、「信頼性の高い根拠を用いる」という点は
特に重視して授業を組み立てる必要があります。
③特定の対象に向けてコミュニケーションすることを求められているか
最後の条件は「具体的な対象を想定してコミュニケーションしているか」
という点です。
ビジネスの世界では当たり前の「ペルソナ設定」です。
以前、企業に研修に伺った際に担当の方が「ペルソナ」という言葉を使っていました。
何かを察したその担当者は「ペルソナって、ご存じですか?」と聞きました。
残念ながら、20名ほどいた教員のうち「ペルソナ」を知っていたのは3名でした。
それくらい、教員はビジネス用語に弱いので、ぜひ今のうちからビジネス書を読んで
勉強していくと、21世紀型教育についていける語彙力を獲得できるのではないかと思います。
話がそれました。要は「誰に向けて自分の考えを発信しているの?」ということを
明確に設定した授業の計画を立てましょうねってことですね。
私たち教師はつい、「自分の考えをまとめよう」という課題を出してしまいがちです。
そのときに「誰に向けて考えを発信するのか」という視点を挟んでみるのがとても効果的です。
「先生~!誰に向けて言えばいいんですか~?」
こんな子どもからのツッコミを受けずに済みます。
そのうえ、子どもたちのまとめる考えがよりはっきりくっきりします。
「深い学び」達成のために不可欠な「コミュニケーション」
・予測不可能な社会
・変化の目まぐるしい社会
こんな言葉をよく目にします。
結局のところ、生徒たちがこの先どのような人生を歩んで、
それぞれがどんな課題に直面するか
そんなことは私たちには到底想像できないことです。
そしてこれは今までもそうだったはずです。どんな人生を歩むかなんてわからないわけですから。
では、教師として私たちはどんな力をつけてあげればよいか。
時代によって求められるものは変わっていったけれど、
本質は「人に自分の考えを伝える」「わかりやすく、きちんとした考えを持つ」
というところで変わらないのではないかなと思います。
・自分の考えをしっかりまとめることができる。
・その考えは思い付きや独りよがりではなく、データに基づいた論理的なものである。
・信頼に足るデータを出すことができる。
これから生き抜くうえで、重要なことをしっかりと教えられる教師になりたいですね。
ということでルーブリックのおさらいです。
これですべての要素の解説はおしまいです。
6つの要素の解説が少しでも明日の授業づくりのヒントになれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
みんなで楽しく先生をやろう!