こんにちは。ゆう先生です。
中学校で国語の先生をしています。教育にかかわることを発信していきます。
令和5年度から「部活動の地域移行」が実施されるということで、
ニュースなどで「部活動」について取り上げられることが増えてきました。
教員の負担軽減の観点からも盛んに論じられています。
今回は月間の時間外勤務が140時間を超えた経験を持つ私が、
実体験を交えて「部活動」ってどうなの?ということについて
お話していきます。
時間外勤務140時間!? 一体どうやったらそんなことができるんだ!?
って思いますよね……(笑)
目次
- 時間外勤務140時間以上のとある月の実態
- そんな激烈な状況を乗り越えて、今はどうなったの?
- 専門外を持つまでは時間外勤務140時間超え常連??
- 本当は、専門の競技の顧問をしたい。でも……
- だからこそ地域移行!
- それまではどうすればいい?
時間外勤務140時間以上のとある月の実態
早速ですが、お見せします。
平日はすべて空白にしていますが、
このころは「7時に出勤、平均して20時頃に退勤」を繰り返していました。
16時頃から18時半までもちろん部活をしていましたから、自分の仕事は18時半以降。
朝の時間は教室の掃除やら前日に積み残した仕事やらにひたすら没頭。
勤務時間は「8時15分~16時45分」でしたから、平日の時間外勤務は4時間30分。
期末テストのときは早く帰ることもできますが、土日に採点ができないので終わり次第マッハで採点。
当時は34人×3クラス×2学年分=6クラスを受け持っていましたから、
102枚×2学年分の計204枚、生徒の答案を採点しまくっていました。
教員経験がある方もない方も、なんとな~く想像がつくかと思いますが、
国語の採点は記述問題ががっつりあるため時間がとてもかかる上に、
当時は採点用のソフトウェアもなかったので、とにかく根性でごり押しで、
右手のここ
が真っ黒になるまで、赤鉛筆片手におりゃー!っと採点しまくりでした。
採点は根性!
とはいえ、午後1時間程度の部活以外すべてを採点に捧げていたので、さすがに期末テストのときは早く帰っていました。
ということで、4時間30分の時間外勤務を17日間、分かりやすく76時間にします。
土曜日の時間外勤務が31時間、日曜日の時間外勤務が42時間、
合計で149時間の時間外勤務です。
ちなみに、他県への遠征では車を出して高速代、ガソリン代、自腹でした(笑)
ぱっと見、頭おかしいんじゃない?って働き方……
自分で今見返しても頭おかしい働き方です(笑)
そんな激烈な状況を乗り越えて、今はどうなったの?
はい。今は土日の部活ゼロ。時間外は月20時間程度です。
激変ぶりがやばいですね……
どうしてそうなったのかというと原因はこんな感じ。
・当時よりスキルアップして、短時間で仕事を終えられるようになった
・生徒の成長に直結するコスパの高い仕事に絞って実践するようになった
・どうでもいい書類仕事はちゃちゃっと仕上げるようになった
①専門外の部活担当になった
私の専門とする競技は競技人口が少なく、
・サッカー
・野球
・バスケットボール
みたいにすべての中学校にありそうなメジャーな競技ではありません。
異動を機に専門外の部活顧問になり、いろいろの交渉の末、土日の部活動はゼロ。平日もほとんど見ないというポジションを得ることができました。
②当時よりスキルアップした
同じ授業準備をするにしても、ある程度経験を積んだ今と
140時間超え当時を比べると、明らかに短時間でできるくらいスキルアップしてきました。
体感的には3分の2~2分の1くらいの時間でよりクオリティ高くできるようになりました。
それに加え、ICT機器を使って時短できるスキルを絶えず研究しているため、
今は印刷の手間なども極限まで減り、時短で準備できるようになりました。
スキルアップは一番の時短術!
③生徒の成長に直結するコスパの高い仕事に絞った
教師の仕事はこだわりだせばとことんまでこだわり続けることができます。
例えば学級通信や学年通信などはその最たるものです。
140時間超え当時は、年間70号近い学級通信を出していました。
もっとこだわる先生は100号まで学級通信を出すこともありますから、
70号でもまだまだ足りません。
今は、月に2本程度の学年通信で終わらせています。
学級通信は出しません。
その学年通信も生徒にアウトソーシングして作ってもらうことも多いです。
喜んでいい通信を書いてきてくれます。
学級通信で生徒は変わるかもしれません。
学年通信で生徒が成長するかもしれません。
でも、同じくらい教師の語りでも変容します。
弱い力をじわじわかけ続けた方が子どもは成長します。
結論、学級通信、学年通信は現代ではコスパの悪い仕事としてカットしました。
④どうでもいい書類仕事はちゃちゃっと仕上げるようになった
これを言うと怒られるかもしれませんが、
教師には教育委員会からアンケートやら調査やらがたくさん来ます。
そういうアンケートにひとつひとつまじめに答えていたら時間を奪われます。
また、校内でしか共有しない書類の形式に異常にこだわる管理職もいます。
保護者に出す手紙の余白や段落の分け方までこだわる管理職もいます。
時間を奪われる書類仕事は、本当にどうでもいいのでいい感じで出しちゃいます。
アンケートの本来の目的を達成しなければなりませんから、嘘は書きません。
ただし、悩んで悩んで書くなんてこともしません。
判断は1秒です。
う~ん。こんな感じかな? で答えます。
書類の形式にこだわる管理職に当たったら、
「とりあえず書類を作って見せる」→「直されたところを思考停止で直す」
にしています。
役所仕事の最たるものなので、実益がありません。
公務員とはそういう組織です。
一応国語科なので文法の間違いなどは直しますが、実益のないことはしません。
戦っても管理職の判断は覆らないので思考停止が一番!
専門外を持つまでは時間外勤務140時間超え常連??
実はそうでもありません。
新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、考え方が変化しました。
「あれ?仕事が時間内に終わるって、めちゃくちゃ生きやすいぞ?」
それからは、自分でコントロールするようになりました。
練習試合なども自由にできない期間でしたので、部活動の時間が加速度的に減りました。
自分が休みたいときは休む。
練習試合も予定がどうしても合わなければ断る。
基本的に副顧問の先生にはお願いしない。
徹底すると、部活動顧問をしながらでも時間外勤務を劇的に減らすことができました。
専門の競技でしたから、半分趣味みたいな感覚で指導にあたっていました。
競技経験のある保護者の方を中心に地域の方々と協力して指導することもたくさんありました。
本当は、専門の競技の顧問をしたい。でも……
部活動の教育的意義、何より子どもたちと目標に向かう楽しさ、可能であれば専門の競技の顧問をしたいと思います。
でも、環境が変わって専門外の競技の顧問になってわかったことがあります。
専門外の競技の顧問って思っていたよりずっと興味が湧かない!
教員採用試験の面接では
部活動顧問で未経験の競技を割り当てられたらどうする?
というテンプレート質問があります。今でもあるのかな…?
自分なりに競技について勉強し、子どもたちと成長しながら目標に向かって頑張ることの大切さを指導していきます。
的なことを答えるのが、これまたテンプレートになっています。
正直なところ、当時はテンプレートの答えをしつつ、冗談じゃねーや(笑)と思っていました。
そして今、やはり冗談じゃねーよ(笑)と思います。
今は自分の子供がいませんが、これで子育てが人生に加わったら確実に専門外の部活なんて切り捨て対象です。
そうでなくても時間外勤務を極力減らそうと思ったら、専門外の部活は切り捨て対象。
自分も立場が変わって、ようやく苦しんでいる先生の気持ちに本当に気がつけたかな?と思います。
と、同時に、専門の競技の顧問をしたいという気持ちもまた変わりません。
私は一流の競技者ではありませんが、そこそこに楽しみながら競技を続けることの良さを伝えられます。
目標に向かって頑張ることも教えられます。仲間と一緒に過ごす時間の濃さも提供できます。
0か100かではなかなか割り切れないですね……
だからこそ地域移行!
部活動の地域移行は個人的にはとても良い取り組みだと思います。
問題は山積みですが、
・部活顧問をやりたい教師
・部活顧問をやりたくない教師
・部活顧問をやれない教師
どの選択も尊重できます。
子どもたちは専門性の高い指導者に教わることができる。
意欲の高い指導者に指導してもらえる。
理想が叶えばWin-Winです。
それまではどうすればいい?
完全に地域移行が完了するまでにまだしばらくかかるでしょう。
「それまでは教師の自己犠牲が続くの?」
そんなことを思う先生方も多いでしょう。
そんなときは「自分がどうしたいか」で行動を起こすことを強く強くお勧めします。
できないことはできない。
これをきちんと自分の言葉で音便に主張すればいいのです。
「他人がどう思うか」はコントロールできません。
「自分がどうするか」しかコントロールできません。
「これからどうするか」しか未来を変えられません。
授業、学級経営、校務分掌
やるべきことに全力を出して結果を出しましょう。
それ以外のできないことは「できない」と明確に表明しましょう。
部活動顧問に悩む先生は「行動を起こす」が一番大切です。
ただし、人間関係は最大限尊重してね。
今日の記事が「自分がどうするか」「これからどうするか」をしっかり考えて、
行動に移すきっかけになれれば幸いです。
みんなで楽しく、先生をやろう!
最後まで読んでくれてありがとうございました。